近年、駅の違法駐輪を厳しく取り締まるようになったことで、駅周辺においての駐輪場のニーズが高まっています。都心部では若者の自転車の流行も加味され、駐輪場需要の増加が加速しているようです。それだけニーズがあれば、駐輪場経営は儲かるのか気になるところ。ここでは駐車場経営と駐輪場経営を比較して、どちらが土地活用に向いているのかわかりやすく解説しています。
駐車場経営、駐輪場経営にあたり、まず考えなければならないのが固定資産税です。固定資産税とは、土地を持っていれば必ず発生する税金で、更地にしていたら上限いっぱいの固定資産税(課税標準額×1.4%)を徴収されます。そして、持っている土地に家を建てた場合は、固定資産税が1/3から1/6程度軽減されます。そのため、土地は更地のまま所有するより、駐車場や駐輪場として活用したほうが良いのです。
また、固定資産税以外にも都市計画税、償却資産税、消費税、所得税、個人事業税等がかかってくることが考えられます。 わかりやすく説明すると、坪単価100万円の土地が50坪あったとして5,000万円。売買価格は課税評価額とは別ですが、わかりやすくこのまま計算してみると5,000万円の1.4%で70万円。プラス都市計画税が3%かかり15万円。これだけでも85万円ほどの税金がかかるのです。と言うことは、最低でも年間85万円以上の収益をあげなければ赤字になってしまいます。
月極駐輪場は設置場所がある程度限定されます。そのほとんどは駅前、あるいは駅周辺です。月額賃料はエリアにもよりますが、2,000円〜4,000円くらいが相場。100台契約できれば月額20〜40万円。1,000台契約だと200〜400万円という収益が見込めます。駅近、駅周辺であることが前提となりますが、その条件の土地をもつオーナーであれば、月極駐輪場を始めたほうが良いかもしれません。
では、月極駐車場と比較するとどちらが儲かる見込みが高いのでしょうか?
駐車場1台分のおおよそのサイズは、幅250㎝奥行450㎝程度です。このスペースに自転車を何台停められるか想定してみましょう。自転車のサイズは、だいたい60㎝×190㎝なので、余裕をもって停めると8台分くらいになります。これを、巷でよく見かける2段式にした場合は倍の16台です。月額賃料相場である3,000円で計算した場合、車1台分のスペースを駐輪場にした場合48,000円が見込めます。月極駐車場の1台あたり48,000円と言えば、東京のある程度都心部レベルの賃料となります。駐輪場経営なら、ある程度郊外の駅近の土地でも48,000円の収益が見込めるので、駅チカの土地をお持ちなら駐輪場経営のほうが良いかもしれません。
月極駐輪場は主に駅近・駅周辺の需要が高いのですが、時間貸し駐輪場は多くの場合商業施設の周りの需要が高め。賃料は停めたことがある方ならわかると思いますが、とてもリーズナブルです。場所にもよりますが、100円程度で数時間停められるところが多い傾向があります。
時間貸し駐輪場は少ないスペースでも設置できるのが強みです。小さなエリアに100台くらい駐輪できる時間貸し駐輪場は至る所にあります。小さい面積の土地でも台数も止められ、かつ稼働率が高いのでそれなりの収益が見込めるようです。 例えば200台停められる駐輪場があったとして(50坪ほどで200台停められるという計算)、200台が1回転、賃料が100円として1日20,000円。月間では60万円ほどになります。ただし、天気には影響されやすいのが駐輪場の難点。雨風の強い日、日差しの強い日にあえて自転車に乗って移動する人は多くありません。梅雨、猛暑日、台風など、時期によっては稼働率ゼロ、1日の収入がゼロになる日もあるでしょう。
一方、時間貸し駐車場は天気の影響を受けにくいメリットがあります。むしろ、天候が悪い日ほど車を利用する方は多い傾向。50坪の土地をコインパーキングにした場合、停められる車の台数は10台程度です。土地のカタチによってはもっと収容台数が少なくなります。駐車場1台分が1日1,000円の売り上げだとすると、10台収容で10,000円。単純計算だと駐輪場のほうが儲かる計算になりますが、稼働率がゼロになる日もあると考えると、どちらにもメリットがあり、一概にどちらのほうが稼げるとは言えないことがわかります。
駐車場経営と駐輪場経営は、土地の立地、形、広さなどによってどちらのほうが儲かるのか変わってきます。その土地に住んでいる人の車所有率や気候、道幅や交通状況、土地の近隣施設なども大きく影響するでしょう。
だからこそ、そのエリアの土地活用に精通しているサポート会社に相談するのがおすすめです。サポート会社のノウハウを利用すれば成功に一歩近付けますし、駐車場オーナーとしての管理業務の手間を大幅に省けます。一括借上げ方式ならば、駐車場経営サポート会社に経営を任せる形になるので、駐車場の稼働率にかかわらず、賃料として一定の収入を得ることも可能です。
空いている土地の有効活用法としてあげられる駐車場経営ですが、土地の形状から自転車・バイクを停めるための駐輪場経営を視野に入れている人も。駐車場経営・駐輪場経営のどちらが儲かるのかは、土地・周辺エリアの様子でチェックしてみましょう。
例えば、周辺施設に学校がある場合、利用ユーザーの割合を考えると駐車場よりも駐輪場経営の方が高い利益になる可能性があります。最近では車を持たない人も増え、大学生でも公共交通機関・自転車で通学している人が多いからです。
ただ地域によっては、車の利用が多いエリアもありますが、いくら車ユーザーが多くても利用しにくく、利便性が低い場合は、利益を得られる可能性が低くなってしまいます。儲かる駐車場・駐輪場経営をしたいのであれば、まずは土地周辺の環境・ニーズを知りましょう。
マーケティング視点を取り入れ、駐車場と駐輪場、どちらの収益が期待できるかを、リサーチするのが駐車場経営を成功へと導くカギと言えそうです。
自転車の保有率が高い都道府県は以下の通りです。
公共交通機関が発達し、自動車を持っていなくても生活に困らない、道幅が狭く車では不便を感じる場所が多い都道府県のランクインが目立ちます。
このエリアで、駅から近い場所に土地を持っている人は駐輪場経営も選択肢のひとつに入れてみてはいかかでしょう。
順 位 | 都 道 府 県 | 保 有 率 |
---|---|---|
1位 | 京都府 | 44.5% |
2位 | 大阪府 | 43.6% |
3位 | 埼玉県 | 43.5% |
4位 | 香川県 | 42.9% |
5位 | 高知県 | 40.9% |
6位 | 愛媛県 | 39.5% |
7位 | 徳島県 | 39.5% |
8位 | 東京都 | 39.4% |
9位 | 千葉県 | 38.9% |
10位 | 岡山県 | 37.9% |
参考:2014年引っ越し侍によるインターネットアンケート調査より
公共交通機関が不便で車でないと移動できないエリアは、自転車保有率が低いようです。周辺状況やユーザー層によっては儲かる可能性もありますが、自転車を保有している人の全体の数が少ないので、駐輪場経営は思ったように収益が見込めないかもしれません。
順 位 | 都 道 府 県 | 保 有 率 |
---|---|---|
1位 | 沖縄県 | 13.7% |
2位 | 長崎県 | 15.2% |
3位 | 秋田県 | 23.7% |
4位 | 山梨県 | 26.5% |
5位 | 石川県 | 26.8% |
6位 | 福井県 | 27.3% |
7位 | 鹿児島県 | 27.5% |
8位 | 大分県 | 27.6% |
9位 | 山口県 | 28.0% |
10位 | 岐阜県 | 28.6% |
参考:2014年引っ越し侍によるインターネットアンケート調査より
自動車の保有率が高い都道府県は以下の通りです。
地方都市になればなるほど、高い自動車保有率を記録しています。一家に一台ではなく、一人一台がメジャーなのかもしれません。子どもが成長し車を購入しても、自宅の駐車スペースを確保できず、別の場所に契約駐車場を借りる人もいるようです。
住宅地でも駐車場経営を成功できる可能性もあります。
順 位 | 都 道 府 県 | 世帯当たりの普及台数 |
---|---|---|
1位 | 福井県 | 1.736 |
2位 | 富山県 | 1.681 |
3位 | 山形県 | 1.671 |
4位 | 群馬県 | 1.625 |
5位 | 栃木県 | 1.603 |
6位 | 茨城県 | 1.587 |
7位 | 長野県 | 1.579 |
8位 | 岐阜県 | 1.578 |
9位 | 福島県 | 1.558 |
10位 | 新潟県 | 1.546 |
参考:令和元年8月20日 一般財団法人自動車検査登録情報協会「自家用乗用車(登録車と軽自動車)の世帯当たり普及台数」より
公共交通機関が発達しているエリアが多く、車を持っていなくても生活に不便していない人が多いことがうかがえます。自家用車を必要としないのも納得ですが、観光地として人気の地域もランクインしているため、エリアによってはレンタカー利用者の需要が見込めます。
自家用車向けではなく、観光客向けに駐車場経営も考えてみてもいいかもしれません。
順 位 | 都 道 府 県 | 世帯当たりの普及台数 |
---|---|---|
1位 | 東京都 | 0.432 |
2位 | 大阪府 | 0.645 |
3位 | 神奈川県 | 0.705 |
4位 | 京都府 | 0.820 |
5位 | 兵庫県 | 0.909 |
6位 | 埼玉県 | 0.970 |
7位 | 千葉県 | 0.972 |
8位 | 北海道 | 1.006 |
9位 | 福岡県 | 1.072 |
10位 | 奈良県 | 1.098 |
参考:令和元年8月20日 一般財団法人自動車検査登録情報協会「自家用乗用車(登録車と軽自動車)の世帯当たり普及台数」より
大まかな地域傾向は簡単にリサーチできますが、より詳細な情報・適正価格・利用者ニーズ・年代などのマーケティングを個人的に進めるには限度があるでしょう。
「駐車場・駐輪場経営どちらが儲かるのか?」は素人目では判断しにくいのです。だからこそ駐車場経営のプロに相談し、よりベストな方法を提案してもらうのがおすすめ。
土地を効率的に活用したい、駐車場・駐輪場経営で儲けたい人は、まずは駐車場経営サポート会社に問い合わせをしてみましょう。