駐車場経営の収入は、収容可能台数や料金設定はもちろん、駐車場の種類(月極/コインパーキング)と経営方法(自主管理/管理委託/一括借り上げ)によっても大きく変わります。こちらのページでは駐車場経営で得られる収入・年収についてわかりやすく解説します。
「小売物価統計調査」のデータをもとに、東京23区で月極駐車場を経営した場合に得られる収入を算出してみました。東京23区で月極駐車場を借りた場合、1か月にかかる料金は平均2万6,494円※1となっています。
たとえば収容可能台数3台の月極駐車場を経営する場合、月間収入は7万9,482円(26,494円×3台)、年間収入は95万3,784円(月間収入×12か月)となります。
下記に月極駐車場を経営した場合の月間収入・年間収入を収容可能台数別(1台/5台/10台/20台)にまとめてみました。
収容可能台数 | 月間収入 | 年間収入 |
---|---|---|
1台 | 2万6,494円 | 31万7,928円 |
5台 | 13万2,470円 | 158万9,640円 |
10台 | 26万4,940円 | 317万9,280円 |
20台 | 52万9,880円 | 635万8,560円 |
※1参照元:総務省統計局|小売物価統計調査(動向編)7342「車庫借料」(https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003420453)
続いて、コインパーキングを経営した場合の収入・年収モデルを見ていきましょう。こちらも「小売物価統計調査」のデータをもとに、東京23区でコインパーキングを経営した場合に得られる収入を算出してみます。東京23区でコインパーキングを利用した場合、1時間あたりの料金は平均683円※2となっています。
たとえば収容可能台数3台のコインパーキングを経営する場合、稼働率を20%(1日4.8時間稼働)と想定すると月間収入は29万5,056円(683円×4.8時間×30日×3台)、年間収入は354万0,672円(月間収入×12か月)となります。
下記に月極駐車場を経営した場合の月間収入・年間収入を収容可能台数別(1台/5台/10台/20台)にまとめてみました。
収容可能台数 | 月間収入 | 年間収入 |
---|---|---|
1台 | 9万8,352円 | 118万0,224円 |
5台 | 49万1,760円 | 590万1,120円 |
10台 | 98万3,520円 | 1180万2,240円 |
20台 | 196万7,040円 | 2360万4,480円 |
※2参照元:総務省統計局|小売物価統計調査(動向編)7343「駐車料金」(https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003420453)
上記の収入・年収モデルを比較して分かる通り、コインパーキングのほうが高収入になりやすいです。一方で、月極駐車場より初期費用(機器の導入など)がかかる、稼働率によって収入が大きく左右するなどのデメリットもあります。
また、一部の駐車場経営会社では月極駐車場とコインパーキングを併用し、より高収入を目指しつつも毎月一定の収入が得られる運用方法もあるそうです。
駐車場経営の経営方法は主に自主管理・管理委託・一括借り上げに分かれます。それぞれの特徴やメリット・デメリット、収入との関係についてまとめました。
3つの経営方法のなかで最もハイリスク・ハイリターンなのが「自主管理」です。機器の導入や料金設定、駐車場経営にかんする申請手続き、駐車場の管理・運営まですべてオーナー自身で対応します。
その代わり、管理委託料などが発生しないので、売上はすべてオーナーの収入となるのがメリットです。
ただし、売上がなけれな収入も0になります。また、運営の手間はかかりますし、ライバルとなる周囲の駐車場を定期的に調査したり、トラブルがあったら都度対応したりしなければなりません。また、初期費用やランニングコストの負担もほかの経営方法とくらべて重くなります。
駐車場経営の経験や知識が十分にあり、また駐車場の管理・運営にあてられる時間も十分にある…という方に向いているでしょう。逆に駐車場経営の経験や知識が少ない方、駐車場経営のために費やせる時間がない方には向いていません。
「管理委託」は3つの経営方法のなかでミドルリスク・ミドルリターンに分類されます。その名の通り管理を業者に委託する方法で、駐車場を管理する手間が省くことができます。
ただし、管理委託料(手数料)を支払う必要があり、売上がまるっとオーナーの収入になるわけではありません。管理会社や契約内容にもよりますが、管理委託料は収入の10%前後というケースが多いようです。また、定額で〇〇円と決まっているケースもあります。
また初期費用はオーナー負担となることが多いので、ある程度の自己資金を用意できる方に向いています。
3つの経営方法のなかで最もローリスク・ローリターンなのが「一括借り上げ」です。土地を駐車場経営会社に貸し出し、その賃料が収入となります。駐車場の稼働率が悪い期間も、毎月一定の収入(賃料)を得ることができますが、反対に稼働率がどれだけ良くても収入が増えることはありません。
また、初期費用やランニングコストが会社負担となるケースが多いのも一括借り上げ方式の特徴。まとまった初期費用を準備できなくても駐車場経営を始めることができます。※アスファルト舗装費用はオーナー負担となるケースが多いようです
初めて駐車場経営をする方、初期費用を抑えたい方、駐車場経営の手間をなるべく減らしたい方に向いています。
自主管理・管理委託・一括借り上げをまとめて比較すると下記の通りとなります。
安定して高収入を得たいなら、一括借り上げ方式のコインパーキング経営がおすすめです。月極駐車場よりコインパーキングを選ぶことで高収入が期待できるうえ、一括借り上げ方式なら「安定性」も得られます。さらに、初期費用やランニングコストの負担もありません。
自主管理や管理委託と比べると期待できる収入は低くなりますが、「いつになったら初期費用を回収できるか」「今月の収入はどれぐらいあるか」という不安もなくなります。
月極駐車場・コインパーキングいずれにせよ、管理委託まはた一括借上げで駐車場経営を行う場合は、パートナーとなる駐車場経営会社選びが重要です。選ぶ際は初期費用は自己負担か会社負担か、管理・手数料はいくらかかるか、サポート・提案力は十分か…といったポイントを重視するとよいでしょう。
【選出基準】
不動産業を母体とし、駐車場経営後の土地活用も提案ができる専属担当者が付くエイブル。
※1…情報参照元:エイブルパーキング公式HP(http://www.ableparking.co.jp/katsuyo/)
駐車場にするのが難しい土地でも収益化できる駐輪場の管理運営台数が43,000台以上で最も多い三井のリパーク。
※2…情報参照元:三井のリパーク公式HP(https://www.repark.jp/parking_owner/type/)
業界シェア84.1%(※3)で知名度抜群のタイムズ24を選出。
※3…情報参照元:業界動向サーチ(https://gyokai-search.com/3-parking.html)
駐車場管理を委託する時におすすめできる3社は、全て手数料や管理費などは必要なく、初期費用とランニングコストが掛からないという点では同じです。
ですが、そのサービス内容には少しずつ差があり、「エイブルパーキング」では、現在活用できていない駐車場に対するプランの作成や、売上アップの提案を行ってくれるところが特徴的でしょう。
また、「三井のリパーク」では、公式サイト上の駐車場情報に、リアルタイムで空車情報が表示され、稼働率アップを期待できそうです。「タイムズ24株式会社」は、行政への届け出や申請の手続きも行ってくれるので、知識がない方でも安心です。
狭小地などでも参入しやすいのが駐車場経営のメリットともいえますが、その土地が駐車場に適しているかどうかを、まず確認する必要があります。
駐車場として利用してもらうためには、幅員が4m以上の道路と面している土地が適しているとされています。最低限車が通ることができれば駐車場としては成り立つのかもしれませんが、駐車場に至る道のりが狭い場所では、需要があったとしても避けられてしまいがちになります。また、土地と道路の間に街路樹やガードレール、道路標識や電柱等があることもあります。移設してもらうことができるのかどうかは、役所や警察署、電力会社等との交渉が必要なケースもありますので注意が必要です。
道路との高低差がある場合、駐車場の形態によっては、土地の造成が必要なケースがあります。特に、駐車場内に車路がない場合は増勢をしてフラットにする必要があるでしょう。ただし、車路がある場合などはスロープで対応できることもありますので、専門業者に相談するようにしましょう。
せっかく駐車場経営を始めたとしても、その場所での駐車場の需要が無ければ収益を出すことができません。最近では、インターネットなどで、駐車場の数がどれくらいあるのか等を簡単に検索することができるようになっています。
実際に所有地の周辺に月極駐車場やコインパーキングが多くある場合は、それらの駐車場の稼働状況を確認しましょう。月極駐車場の場合、その駐車場の管理会社に空状況を確認することで、需要を知ることができます。コインパーキングの場合は、明確な稼働状況を知る術はありませんが、定期的に現地調査をしていくことで、大まかな需要を知ることができるでしょう。
周辺の駐車料金の相場がどれくらいなのかを確認しておきましょう。自分の所有している土地が、非常に便利な土地ならば相場より多少高く、不便な土地ならば相場より多少安くする必要があります。
周辺の駐車場の形態が、平置きなのか?立体なのか?はたまた、砂利敷きかアスファルト敷きかなど、さまざまな形態の駐車場があります。利用者の目線になってみれば、同じ料金の駐車場ならば、砂利敷きの駐車場よりもアスファルトの駐車場に、立体よりも平置きの駐車場に車を停めたいと考えます。利用者のニーズを鑑みて、駐車場設営や料金設定をすることで競合の駐車場との差別化を行うことができます。
駐車場やコインパーキングの経営を始める際に必要となるのが「初期費用」です。経営を始めるために必要な資金のことは、具体的に経営について考えるにあたって、大切なことと言っても良いでしょう。
月極駐車場は、特別な設備がなくても経営ができます、しかし利用者が快適に利用できるように環境を整えておく必要があります。月極駐車場経営における主な初期費用は
最低限の設備として、土地の整地・車止めブロック・駐車スペースのしるしさえあれば月極駐車場は経営できます。しかし立地や環境に応じて整備が必要です。土地の広さや整備に使う素材にもよりますが、100㎡の舗装費用は約20万〜80万円程度と言われています。
駐車区画のライン引きもロープとペグを利用すれば、コストを抑えられます。依頼する業者にもよりますが、自主管理をする場合、自分でできるところは自分で整備して、大掛かりになる部分は整備業者に依頼するといいかもしれません。初期費用に50万〜100万円程度かかるとイメージしておきましょう。また、これらの整備費用は業者によってかなり変動があります。管理委託・一括借り上げの場合、契約するときにどのくらいの費用がかかるのか?を業者に確認しましょう。
コインパーキングは自主管理と土地賃貸、どちらにするかで初期費用がかなり変動します。コインパーキングの経営における主な初期費用は
などが必要です。10台ほど停めれる土地だと仮定すると、自主管理の場合、200万円〜300万円ほどのコストがかかります。一方土地賃貸の場合、業者が初期費用などを負担してくれるので、初期費用が発生しないことがほとんどです。これらの設備に関しては、駐車場台数が多ければ多いほど費用が発生します。
駐車場やコインパーキングの経営を続けるためには、初期費用以外に、維持費やランニングコストが必要です。これらの費用は、経営を続けている以上は継続的に必要となってくるため、収入からダイレクトに差し引かれます。ランニングコストを抜きにして、駐車場経営の収支は計算できません。
月極駐車場で発生する維持費・ランニングコストのほとんどが税金です。月極駐車場の場合、建物や設備はないので、補修したり管理する必要がありません。発生するとすれば、ゴミ拾いや植木の環境整備がメインです。経営方法を問わず、共通で発生する費用は
です。自主管理ではなく管理委託や一括借り上げをする場合、管理委託報酬も発生します。管理委託報酬は業者によりますが、平均で大体5%ほどと言われています。
コインパーキングの場合、税金にプラスして機械のメンテナンス費用がかかります。何より一番コストが発生するのが電気代です。コインパーキング運営におけるランニングコストで、電気代が非常に大きなウェイトを占めいています。収容台数が多い土地ほど、照明台数も増え、比例して電気代もアップします。
自主管理の場合、税金+機械メンテナンス+電気代+雑費(領収書など)の費用が発生します。土地賃貸の場合、業者が負担してくれるので、ランニングコストはほとんどかかりません。そのかわり、利益はほとんど業者のものになります。
駐車場経営は空いている土地さえあれば簡単にスタートできます。ただし以下に該当する場合は、駐車場法に基づいて駐車場経営をする前に役所に届出が必要です。
500m2を車の台数でイメージすると、車種や駐車の仕方などにもよりますが、10台くらい停車できます。比較的スペースを確保できる土地を活用してコインパーキングを経営する場合は届出が必要です。ただし月極め駐車場の場合は、どんなに狭くても広くてもこのかぎりではありません。
自動車の駐車スペースをつくるために必要な事項を定めた法律です。道路交通の円滑化や公衆の利便性の保持、都市機能の維持・増進を目的としています。この法律では、大きく分けて路上駐車場、路外駐車場、道路、自動車、駐車の5つについてが定められています。国と地方公共団体は、自動車の駐車施設のために、整備の推進を進めていかなければなりません。
都市の発展を目的とした整備を行うために定められた「都市計画法」に基づいて定められた都市を指します。市街地を中心として整備・開発または保全をする必要がある地域が「都市計画地域」です。都市計画区域は都道府県知事が定めています。開発を促進するエリア、開発を留めるエリアに分けることで、街づくりを計画的に進めていくようにしているのです。
駐車場経営をスタートするにあたって、届出が必要な項目は以下の通りです。
基本的にそんなに難しい項目はありませんが、注意するとしたら「駐車場の規模」についてです。駐車場は自動車専用なのか。それとも二輪車・自転車と併用なのか。利用できる種類を詳細に申告する必要があります。書類不備となって申請ができないと二度手間なので、駐車場設計図を申請する段階で持っている人は役者に持参し、担当者と確認しながら書類を提出しましょう。
コインパーキングなどの駐車場経営をする場合、業者に入ってサポートしてもらう人が多いかもしれませんが、もし、業者に管理を依頼せずに管理規定者として月極駐車場以外の経営をスタートさせる場合、駐車場法とは別の届出が必要です。届出は運営スタートをする10日以内に出さなければなりません。必要な届出は以下の通りです。
これらは自分で書類を作成するのではなく、PDFフォーマットが用意されています。難しい届出ではありませんので、見本を参考に記入しましょう。エリアによっては税金が控除されることもあります。
駐車場経営を役所に届ける際に必要なステップを東京都の事例を参考にわかりやすく解説します。届出をしてから駐車場オープンまでにかかる日数は最短で約40日ほど。数日は受理されないと考えて、余裕を持って申請をしましょう。
すぐに申請しにいくのではなく、まずは役所に行って事前相談をすることが大事です。技術的基準・事務手続き・届出に必要な書類についての説明を受けます。それと同時に警視庁にも事前相談をしましょう。必要書類を事前に説明を受けた上で届出書類を提出します。書類は正・副の2通を提出。審査が通れば控えとして副が返却される仕組みとなっています。
東京都の場合、設置届・管理規定の届けは揃えて提出しましょう。書類を揃えて提出すると審査がスタート。「駐車場経営における不備がないか」がチェックされます。
書類をチェックされると、東京都から警視庁交通部交通規制課へ確認の連絡が入ります。オープン予定の駐車場は出入り口の安全性が保たれているか、交通管理者の意見を元に現地で目視確認。警視庁が確認したのち、東京都に折り返し連絡がくる仕組みです。
東京都職員による現地立入検査がスタートします。これは駐車場が技術的基準に一致しているかどうかをチェックするためです。
代表的な検査項目を3つあげましたが、他にもチェックされることがあります。もし現地調査で改善しなければならない点が出てきた場合は指導と改善が入ります。改善の必要性がない場合、最初の届出書類提出した控えの副が返却されるのです。ここまでの項目審査が終了すると駐車場がオープンできます。
アパート経営とは違い、駐車場経営はとくに資格や知識などがなくてもスタートできます。土地が余っている、または運用できなくて放置している土地がある場合は、かなり有効活用できるでしょう。ただし個人で駐車場経営をする場合は運営が大変のこともほとんどです。駐車場経営をスタートする上で知っていると役立つ、そして成功しやすくなる資格をご紹介しましょう。
日商簿記は収益計算と会計に関する知識や方法などが身につけられる検定です。収益の計算はもちろん、必要なコストやキャッシュフロー感覚、状況判断力なども身につくようになります。数字が客観的に見られるため、駐車場経営を長く続けたいのであれば、日商簿記検定2級程度は取得しておくと良いでしょう。
日商簿記検定は1級・2級・3級の3種類。難易度は3級から1級に下がるにつれてアップしていきます。
3級の合格率は50%。初歩的な実技ができるレベルの難易度で、職種に関わらず実務ができるようになります。商業高校や大学などで週2回程度の講義を受講すれば取得できるため、まず日商簿記に触れてみたい人におすすめです。
2級の合格率は30〜40%。3級よりは難易度が上がりますが、財務表をつくるための知識やスキルなどが身につきます。駐車場経営をするうえで実用性が高い級です。経営シミュレーションができるようになります。
1級の合格率は5〜10%。かなり難易度の高い級で国家資格となっています。公認会計士・税理士になりたい人が取得するレベルの級です。駐車場経営をするうえでここまでのレベルは必要ありませんが、会社法や経営管理、経営分析などをしたい人は挑戦してみると良いでしょう。
駐車場法は駐車場経営に携わるのであれば欠かせない知識の1つです。駐車場法は、駐車場内で発生したトラブルをはじめ、駐車場経営の設備に関する法律を制定したもの。もし、駐車場内で利用者の車が前方不注意で事故をおこしたとします。一見するとドライバーの過失かもしれませんが、駐車場内の照明が切れていたり区画の広さや駐車場が定められた基準にあっていなかったりする場合、ドライバーではなく駐車場経営者の過失になるのです。
こういったトラブルがあった時、「駐車場法を知らなかった」では済まないので、駐車場法の条文は必ず目を通しておきましょう。
都市計画法は、都市部を発展させるにあたって計画的な整備を実施するための法律です。都市部で土地活用をして駐車場運営ができないわけではありません。もちろん全国どこでも条件があえば駐車場経営はできます。ただし都市計画区域内の場合、建設が制限されるのです。立体駐車場を建設する場合は行政許可が必要となります。都市計画法を理解したうえで駐車場経営をスタートさせると、スムーズに運営できます。
道路交通法には、時間制限駐車区間、つまりコインパーキングをはじめとする施設経営する際に把握しておかなければならない法律が記載されています。コインパーキングにおける駐車や車の管理などを適正に管理するためです。どんな駐車場に、どんな駐車場が該当するのか、どんなトラブルに対してどんな措置をとるべきかといった、経営するにあたって必要な情報が記載されています。コインパーキングを経営する際には知識として身に着けておく必要があります。