コインパーキングは、多くの車が出入りするため、さまざまなトラブルが起こりやすい場所です。当て逃げ、車上荒らし、盗難、いたずらなど、問題が多岐にわたります。こうしたトラブルを対処しないと、悪い評判が広まり、売上に悪影響を与える可能性も。
この記事では、コインパーキングや駐車場経営における防犯対策について解説します。
コインパーキングや駐車場でよく見られるトラブルの一つに「当て逃げ」があります。
出し入れする際に、停車中の車にぶつかっても放置して逃げてしまう行為です。意図的な犯罪ではないものの、悪質な行為といえます。
また、車両についているカーナビなどの付属品の盗難や、車内に置かれた貴重品の窃盗、精算機の不正解除といった犯罪が発生することも。これらの問題は、利用者だけでなく周辺の住民や地域社会にも悪影響を及ぼす可能性があります。
当て逃げとは、他の車にぶつかったり車両を傷つけてしまったりした後、そのまま現場から逃げ出してしまう行為です。多くのコインパーキングの場合、面積の狭さから他の車に車体をこすってしまうケースが多く見られます。切り返し中やバック走行中、ドア開閉時、出会いがしらなど車同士のトラブルが多いのが特徴です。
事故が起きてもその場で名乗り出てくれれば当て逃げにはなりませんが、目撃者や防犯カメラなどの証拠がない限り、逃げられてしまうと犯人の特定が難しくなります。
車上荒らしとは、何者かによって車中の荷物や車両の部品が盗まれる盗難事件です。車上荒らしの犯罪者の中にはコインパーキングをターゲットにする者もいます。れっきとした犯罪のため被害に遭うと警察を呼ぶことになりますが、車上荒らしに遭ったコインパーキングは普段使っている利用者が遠ざかってしまう原因にもなります。
最近では、被害がSNSにアップされ「防犯カメラがない」など、駐車場に関する情報が拡散するケースも見られます。そうなると駐車場オーナーにとって二重の痛手です。日ごろから車上荒らしに狙われないための防犯対策が必要です。
コインパーキングの出入口近くに設置されている精算機をドリルやバーナーなどで破壊し、機械の中の金銭を盗むのが精算機荒らしです。中にはワイヤーロープで精算機を縛って車で牽引し、機械をまるごと破壊する悪質な手口も報告されています。
精算機荒らしに遭うと、売上が全て盗まれてしまうだけでなく、コインパーキングに駐車している最中の利用者が出庫時に精算できない二次被害も招いてしまいます。
コインパーキングの空きスペースや死角を利用して、料金を払わずに駐車されてしまう行為です。契約者専用の月極駐車場が併設されているコインパーキングの場合、契約者以外の人が契約者の駐車スペースに車を停めてしまう、車両で車を塞がれて出庫できないといったトラブルも見られます。
防犯カメラが設置されていない、薄暗く目立ちにくいところにあるなど、監視の目が甘い駐車場は違法駐車の被害に遭いやすくなります。
違法駐車を防ぐための防犯対策や環境整備が大切です。
無人のコインパーキングに特に多いのが、ごみのポイ捨てや不法投棄です。コインパーキングでは敷地内に自動販売機を設置することが多く、周辺に空き缶などのポイ捨てがされやすい傾向にあります。不法投棄されるとごみの処理費用がかかるだけでなく、近隣住民からのクレームにもつながりかねません。
粗大ごみが不法投棄されてしまうと、車室が塞がれてパーキングを利用できなくなってしまうおそれもあります。印象の悪化や売上の減少につながらないためにも、監視カメラ設置などの防犯対策は必須と言えます。
コインパーキング内での事故やトラブルは、基本的には利用者の責任です。しかし、設備の問題や運営に過失があれば、経営者に責任が問われる場合があります。
例えば、車上荒らしや車両の破損、不正利用、盗難が頻発に発生する場合、経営者は監視カメラの設置や巡回監視などの対策が必要です。このような対策を怠ると、管理体制に問題があると見なされることもあるので留意しましょう。
防犯カメラを設置することで、犯罪抑止効果が期待できます。「見られている」という意識を持たせることで、料金踏み倒しや車上荒らし、精算機荒らしなどのトラブルを抑止できます。また、防犯カメラは現場の映像を記録できるため、犯人の特定が容易になります。映像は刑事告訴や民事裁判の際の証拠としても利用できるため優先的に検討するといいでしょう。
ロックレス駐車場は、車室にロック板を設置せず、ナンバー認証カメラやセンサーを用いる方式です。車のナンバーを読み取り、入出庫の監視や料金精算を行います。この方式では、トラブル発生時の証拠が残りやすく、不正を行った場合でも車の特定が迅速に行えるメリットも。不正を行った車が再度駐車場を利用しようとした時に、運営事業者へ通知する機能もあります。
不特定多数が利用するコインパーキングでは24時間無人で運営されるため、料金踏み倒しや精算機荒らしなどのトラブルに注意が必要です。法律や警察が絡む刑事事件の対応を土地所有者自身で行うのは簡単ではありません。この管理の負担を軽減するためには、専門業者に依頼するのがおすすめです。
専門業者に運営を依頼する方法には、「管理委託方式」と「一括借り上げ方式」があります。
管理委託方式では、駐車場設備を土地のオーナーが所有し、管理や運営を専門業者に任せます。トラブルが発生した場合は、管理会社が一定範囲まで対応しますが、最終的な責任を負うのはオーナー側です。機械や設備の破損や料金不払いの損害は、オーナーが直接負担します。
一括借り上げ方式では、運営業者が駐車場運営に必要な機械や設備を管理して運営します。オーナーは機械や設備の破損損害、料金不払いなどによる責任を負うことなく、運営業者が対応します。
また、一括借り上げ方式は借地契約となるため、駐車場の利用状況にかかわらず安定した収入を得ることができます。