駐車場は立地が経営を左右します。アパートやマンションなど住む場所であれば、立地が悪くても家賃を下げるなどの工夫をすることで入居者を集めることは可能です。しかし、駐車場は、そこに車を停める理由のない場所にニーズはありません。もともと駐車場の料金はそこまで高くないので、価格で差別化するのも難しいです。需要がない土地で駐車場経営をしても集客は困難です。駐車場経営を始める前に、駐車ニーズがある土地かどうかを調査しておく必要があります。
駐車場のニーズがないと集客が難しいですが、ニーズが高ければ集客できるわけではありません。駐車場のニーズが高いエリアの場合、駐車場が密集していることがあります。この場合、料金が駐車場を選択するポイントになりがちです。相場より高い料金を設定したことで、集客を困難にしてしまい駐車場経営に失敗するケースがあります。周りに駐車場がたくさんあるので、安い駐車場に流れてしまうのです。周囲の駐車場を調べて相場から離れない料金を設定しましょう。
駐車場は更地の状態で管理するため、災害のリスクは高くはありません。それでも自然災害や事故により、駐車場内の設備が破損するリスクはあります。設備が破損した場合は修理が必要となり、予期せぬ出費がダメージとなり経営の失敗につながることがあります。また、利用者による賃料滞納もリスクです。予定していた収益が得られなくなるほか、賃料を請求するための裁判費用が必要になる可能性もあります。不正駐車もリスクのひとつです。
駐車場ニーズが高いエリアだとしても、常時満車になるとは限りません。空車稼働を考慮せず、満車想定だけで収支計画を立ててしまった場合、実際の収入が想定を下回り、キャッシュフローが悪化する可能性があります。必要経費の支払いができなくなると、経営は失敗に陥ります。周辺に安い料金設定の競合駐車場が参入して、利用者がその駐車場に流れたために、周囲の駐車場が価格を下げなければいけなくなるケースもあります。料金下落も想定外のキャッシュフローの悪化につながるため、経営に大きなダメージを与えます。
駐車場経営は駐車場内の清掃やクレーム対応、設備の管理などの総合的な運営管理を管理会社に委託するのが一般的です。煩わしい業務を一任できるのは委託業者を利用するメリットですが、その対応が悪いと経営の悪化につながりかねません。定期的な清掃をしてくれない、設備不良が多い、利用者からのクレーム対応が遅いなどのトラブルが頻発すると、利用者が遠ざかってしまいます。利用者が離れると収益が下がり、経営が失敗に陥ります。
事前に周辺の駐車場を調査しましょう。特にチェックしたいのは、周辺駐車場の数や周辺駐車場の経営方式の割合、周辺駐車場の経営方式ごとの料金相場、周辺駐車場のレイアウト、周辺の施設や店舗の数です。インターネット上での収集より、実際に現場に足を運んで確認しましょう。実際に見ることで、立地のニーズや適切な経営形態も判断しやすくなります。ニーズがない土地では集客が難しいですが、ニーズが高くても集客力が必要です。集客方法も検討しておきましょう。
管理会社選びは、駐車場経営の大きなポイントです。契約をしっかり確認しましょう。確認したい項目は、委託できる管理業務の範囲や万一のトラブルにおける双方の責任範囲、クレームや機器・設備故障時の対応スピードです。対応が良く信頼できる委託会社を選びましょう。駐車場は個人経営でもできますが、経営を成功させるには、実績が豊富で質の高い駐車場管理会社に委託することが大切です。
駐車場経営は、比較的低予算ではじめられますが、リスクもあります。長く経営を続けていけば、事故や天災、機器の故障など、何らかのトラブルが発生するでしょう。空車も十分ありえるので、収支を想定する場合は、数台の空車を想定しておくことが大切です。機器・設備の入れ替えで予定外の出費が発生したり、利用者の料金滞納などのトラブルで減収が発生したりといったことを考慮して、収支計画には余裕をもっておきましょう。
駐車場経営は、必ず成功するわけではありません。失敗する原因を知り、事前に対処しておくことで、リスクを減らすことができます。駐車場経営に失敗する原因は、ニーズがない土地で経営してしまったことや、逆にニーズが高くて価格競争に陥ってしまったこと、事故や災害で想定外の出費が発生したこと、収支の想定に無理があったことなどがあります。実績が豊富な管理会社を選ぶことで、こうした失敗を軽減することが可能です。信頼できる管理会社を選び、余裕のある収支計画を立てて挑みましょう。